2015年08月29日

原発で三菱重工が訴えられた件は複雑、無論原発も複雑でトラブルが起きない方がおかしい

9300億円の訴訟を起こされた三菱重工!!
日米原発報道での一番の違いとは?
――広瀬隆×堀潤対談<中篇>


メディア報道からするとまるで三菱重工がアメリカから言いがかり付けられたかのような印象を持ってしまうが、この記事を読んだら三菱重工は酷いなと思ってしまった。
 しかし、外国メディアの記事や上の記事で出てくる米原子力規制委員会(NRC)のサイト上のドキュメントを見ていると、上の記事とは全く違う部分を問題としている。

重要点をいくつか抜粋

最初のページ
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堀:私が2012年にアメリカに留学していた当時、米カリフォルニア州の電力会社サザン・カリフォルニア・エジソン(SCE)が運営しているサンオノフレ原発が再稼働問題に揺れていました。

広瀬2012年1月に運転中だった3号機で、交換したばかりの蒸気発生器の配管に異常な摩耗が起きて、放射性物質を含む水が漏れた。その後、定期点検中だった2号機でも同様の摩耗が見つかった。
サンオノフレ原発の蒸気発生器は三菱重工製でした。
川内原発の再稼働で、私が最もこわいと思っているプラントで、川内原発も同じ三菱重工製ですからね。
川内原発は再稼働した途端に、復水器で細管が破損しましたが、蒸気発生器の細管破損は、もっとこわいこと

サンオノフレ原発の蒸気発生器は三菱重工製でした。
川内原発の再稼働で、私が最もこわいと思っているプラントで、川内原発も同じ三菱重工製ですからね。
川内原発は再稼働した途端に、復水器で細管が破損しましたが、蒸気発生器の細管破損は、もっとこわいことです。
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これだけでも三菱重工は酷いと思ったね。先日の報道では川内原発の壊れた管に栓を付けて出力を上げたそうなんだから。まるで欠陥住宅を作っているメーカーのようだ。


次ページ
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堀2012年の事故発生後、エジソン社(電力会社SCE)と三菱重工は蒸気発生器の設計変更を発表しました。

設計変更し、安全検査をクリアして、NRC(米原子力規制委員会)が承認したら再稼働という流れでしたから、設計変更が完了した時点で、反対側の住民もいよいよ再稼働なのかと注視していました。

そんなときNRCが突然、神戸にある三菱重工の製造工場に抜き打ちで調査に入ったのです。
その結果、定められた手順で安全検査を行っていないことを突き止めました。

広瀬日本でNRCの動きはまったく報道されていません。本当ですか?

堀三菱重工は、「確かに手順を飛ばした部分はあるが、安全管理上はまったく問題はない」と主張しました。それでもNRCはこれを問題視して、三菱重工の担当者とのすべてのやりとりをネットで公開しました。

これによってサンオノフレ原発の廃炉が決定的になりました。SCEの親会社であるエジソン・インターナショナルは三菱重工に対し、検査や補修費用としてそれまでに1億ドル(当時のレートで約97億円)以上を請求していましたが、さらに廃炉に伴う損害賠償(約9300億円)を三菱重工に求めました。

広瀬最終的に、廃炉という決断を誰が下したのですか?

堀SCE(電力会社)です。修理して運転するより廃炉にしたほうが安いという判断でした。
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この記事を読んだだけでは三菱重工の杜撰な製造が主な原因かのように思えてしまうが、外国の記事やNRCのサイトでは三菱重工が設計に利用した、解析ソフトウェアに問題がある事を主な問題としているのだ。

http://www.ocregister.com/taxdollars/mitsubishi-527532-nrc-edison.html

NRCサイト内にある 
UNITED STATES OF AMERICA U.S. NUCLEAR REGULATORY COMMISSION BRIEFING ON STEAM GENERATOR TUBE DEGRADATION
というpdf文書は三菱重工の原発プラント担当者(プロジェクトディレクターと言う役職)が出ているが、この話し合いの場では脇役で、数理的な議論を大学関係者としている。

SUBJECT: NUCLEAR REGULATORY COMMISSION INSPECTION REPORT NO. 99901030/2013-201, NOTICE OF NONCONFORMANCE
というpdf文書では、全く解析ソフトウェア設計の基礎をなす理論的な話が主だ。

要するに三菱重工が設計に使った解析ソフトウェアにミスがあったと言う話が主な話題であり、裁判を起こされたとしてもこれは判断が非常に難しい話になるのは明らかだ。

筆者が調べた限りでは、真の原因が、杜撰な管理で起こった蒸気発生器の製造ミスなのか、間違った計算を引き起こす解析ソフトウェアによる設計段階のミスなのかは全く分からない。また、アメリカ側が三菱重工に全ての責任を擦り付けているかどうかも分からない。

ただ、蒸気発生器の内部構造見たらこれはトラブルが起きない方がおかしいと思えるほど複雑だ。カットモデルの図ではフィンと思えるような細い管がびっしり詰まっており、数え切れないほどの細い管が平行だけではなくUの字に全体に曲がっている部分もある。その部分には振動を抑える棒が配置されており、上のpdfファイルでも論じられているが、解析ソフトウェアは流体解析に加えて振動解析もしているようだ。
その管には放射化した軽水が入ってくるというから、考案した数理モデルでは計算できないのではないのかと素人ながら思う。それに一般論として完璧な数理モデルなど構築は出来ないと思う。まして核物質が相手だ。浜岡原発の配管の破断事故を思い出しても人類は核物質の振る舞いを完全に理解しているとは思えない。

最初に就職した会社は解析ソフトウェアの販売と受託解析をやっている小さな会社で、筆者が在籍していた時、三菱重工から解析依頼の発注を受けた。大口契約だったようで、社長が喜んでいたようだが、今回の場合も別会社に発注しているようなことはしているのだろうか?自社開発ソフトが問題視されているようだから違うようだが、筆者がその会社で使っていた(メジャーではない)業務用3Dモデリングソフトは平面と直線の交点さえも間違うような代物だったから、更に使う人が限定される内製化された計算ソフトはバグが露見されにくい可能性は高い。しかも高度な解析ソフトだ、バグを発見できる人員は大企業とて限られているだろう。ケアレスミスの様な単純なバグでさえも見逃している可能性はある。
posted by danpei at 17:24| 政治経済