2020年02月18日

来月発売されるIC-705(無線機)は色々おさまりが悪い

https://www.icom.co.jp/news/4478/
(HF〜430MHz帯をDV(デジタルボイス)を含むオールモードでカバーする、 ポータブルトランシーバーIC-705を新発売。)

度重なる災害があるごとに非常用通信の必要性が頭によぎり、無線機を買う必要があるのではと何度も思っているが、去年の台風被害で携帯電話だけ持っていてもやばい状況が起きてしまうのを見て、不本意ながらというか渋々無線機を買わなくてはと思うようになった。
 最低でもHF(短波)帯に対応したものが必要だ。安くVHF/UHFハンディ機で済ませたいと思ってたが近距離用だし、そももウチ周辺はVHF,UHF帯の電波が飛んでいない。車にはそれ用のアンテナをよく見かけるのだが。近所の家の人にも聞いたがやはりアマチュア無線用のアンテナだ。相手がいなければ通信はできない。レピータがあれば遠くと交信できるとは思うが、交信している絶対数が少ない超短波帯は心もとない。
だからHF帯対応は必須になるのだが、結構値段がするのだ。以前ミズホ通信という会社から7MHz用の省電力のハンディ機を販売していたが、今はない。この程度で筆者には十分だと思ってるから、最近のてんこ盛りの奴は高いと感じてしまうのだ。

だから現在売られている中から機種選定をしなければならない。机のスペースを占有したくないので操作部分が分離できるセパレート式が候補だ
以前筆者はIC-746という奴を使っていたが、数局とQSOしただけで捨ててしまった(笑)マンションのベランダからワイヤーアンテナを垂らした程度では大して飛ばない。
それに非常に危険だった。下には電車が走っているし。HF帯はアンテナがでかくなるのが最大の難点だ。
今は一軒家だからかなり環境は改善したが、それでも引き込み線以外に屋根の近くに電線が通っているのは危険に感じる。

結論から言えばアイコムのIC-7100でいいのかなと思っている。(以下参照)

来月に同社からIC-705という移動運用用のものが出てくるので、いろいろ検討したが、気に入らない点が多く断念した、というか、するだろう。一応店で実機は確かめたいとは思っている。

IC-705の気に入らない点

1:物理的安定性が悪いとしか思えない筐体
 片手でわしづかみしても問題ないほど小さく、非常に軽いのも相まって、家で使うときは少し触れただけですぐに位置がズレそうに感じる。
 車のダッシュボードに置く場合も、底面が斜めになっている所があり安定性に欠けるので運転時は当然の事、停車時に運用時を想定した際でも、簡単に位置がずれそうに思える。
 当然カーアクセサリーや100円ショップなどで固定する商品があるのだろうが、小さな筐体とはいえ、セパレートタイプの無線機に比べれば操作部分はでかく、前方視界を悪くする

2:アンテナ端子が横についているのが気に入らない(以下参照)



 なぜなら、横にアンテナ端子があると、ぶっといアンテナケーブルが横にはみ出して全体としてスペースをとるし、横にぶっとい物が付いている事は軽い筐体のために物理的安定性が下がる。アンテナ端子を軸に筐体が揺れることがしばしば起きると思ってしまうのだ。スリム化のために、L型のプラグをかませればいいのだろうが、それでもぶっといのが横についていることには変わりがなく、ちょっと乱暴にタッチパネル操作をした際に、筐体がアンテナ端子を軸にしてずれてしまうと思う。

 メーカーがアンテナ端子を横に付けた理由は、オプションの専用リュックを考慮しての設計だと思うが、(以下参照)



この無線機を背中にしょって運用する際、アンテナ端子が横から出てないとアンテナが事実上繋げられないと言う事なのだろう。しかし、そもそも最大の売りである、タッチ操作可能のカラー液晶モニタが使えない運用スタイルを誰がするのだろうか?それが見えなくてよい運用スタイルなら、無線機の前面操作パネルをしょっている人の背中に向けても構わない。そうすれば背面にアンテナ端子を付ける事ができる。
 背面にはバッテリーが大きく場所をとっているが、アンテナ端子一つ分のスペースは確保できるはずだ。側面の端子類のある本体の幅は、前面パネル部分の幅より短く、端子は本体パネルに隠れるように奥まっている。後部本体部分の幅を前面パネルと同じ幅にすれば、背面に端子を設けるスペースはできる。要するに筐体は単純な直方体にすればいいのであるが、メーカーからすれば持ちにくくなるのが気に入らなかったのかもしれない。

3:前面操作パネルは分離できるようにすべき
 これは上記2つの問題に関連した結論だ。IC-705の売りの一つは前面操作パネルであり、この大きさが移動運用の場合、従来のセパレートタイプの無線機と比べて比較的でかくなるのは仕方ない。なのにIC-705は分離できないのは大きな欠点である。これが分離できれば、固定運用でも移動運用でも極めておさまりが良くなる。操作部分がタブレットPCのようになれば、リュックをしょって運用時もスペアナの映像を見られる。車なら安価なスマホホルダーにパネルを入れる事だってできただろう。
 歩いて運用中、手にしている分離したパネルが重たくなったり邪魔な場合は、ベルトに着ける専用のホルダーを開発すればいい。また一眼レフデジカメのストラップのようなものでもよい。固定運用時でも、分離した前面パネルの背面にスタンドを設ければ、近くに置いても視覚的にもちょうどよくなる。bluetoothが搭載されているなら、本体とパネルをワイヤレスにすることだってできただろう。また、チューニングダイヤルを陥没型にすれば表面をフラットにすることができ、移動時にかさばったり引っかかるのも低減できるだろう。それでもつまんで操作したいときは、チューニングダイヤルを押せば若干ポップアップすると言うギミックがあってもよい。

要するにIC-7100のさらにコンパクト版の様になってしまえばいいと言う事だ。しかし製品ラインナップ上、機能がかちが合うからあえてセパレートを見送ったのかもしれない。

(追記:IC-7100と同じように前面パネルを斜めにした方が物理的安定性が高まって手元操作もしやすいと思ったね。それで分離したらタブレットPCの様になればいい。
 加えて前面パネルの大きさを削減するために、周波数ダイヤルは思い切って、マウスホイールのように一部分だけ出るようにして、MULTICLRと書かれた右上のダイヤル下の縦長のスペースに設置し、その部分にある4つのボタンはモニタ下に横に並べる。そしてスピーカーは天面に移動させれば、前面パネルの右側のスペースを削ることができる。以下参照。でも周波数ダイヤルをホイールにしたら、分離した前面パネルの背面からホイールの一部が飛び出そうだ(笑))
IC-705sizeshrink.jpg


また、移動用で最大出力10Wというのも敬遠したくなる理由だ。50Wか100Wのパワーアンプがラインナップされれば少しは魅力度が増すのだが。サードパーティで50Wアンプは売られていたがその会社(東京ハイパワー)は倒産したようだ。

受信音についての不満

また、アイコムの無線機は操作性は抜群だが、受信音が気に入らないのが気にかかる。YoutubeでIC-7100や7300の音を何度も聞いたが、CWの時なぜか、洞窟やトンネル中にいるような「コーーー」みたいな音がするのはいただけない。単なる断続したサインカーブの音を拾うだけなのに、なんであんな音がするのか?ノイズが多いのは初のDSP機であるIC-756から変わってない感じを受ける。うるさいアキバでいじっただけの印象なのだが、これが最新鋭機?と当時思ってしまった。当然IC-705も同じだろう

脱線するが、IC-705やIC-7300の受信部は無線機でよく見る何段ものスーパーヘテロダイン方式ではなく、ダイレクトサンプリング式という極めて単純な構成であり、筆者には安物のように見えてしまう。多分携帯電話と同じだ。ICOMの技術力というより、A/Dコンバーターの性能が受信性能を決めているように見える。加えて、25MHz以上は周波数変換してA/Dコンバーターに入れている様だから、かなり安物のA/Dコンバーターを使っているのではないのかと思ってしまう。なぜなら、2009年に発売されていたFPGA付属の雑誌にFM放送をダイレクトサンプリングで受信する記事を読んだからだ。その当時で80MHzの信号を直接デジタルデータにするA/Dコンバータを使用しているのに(初め読んだときは驚いたもんだ)、10年以上経った商品は25MHz以上は低い周波数に変換して受信なんていくらなんでもしょぼすぎでしょ。
 ICOMは他社に比べて積極的に送受信部のデジタル化を推進しており、それが受信音という、人間の感性を左右する部分にはマイナスになっていると言うのは否定できないだろう。それでもCWの信号音以外の「コーーー」という甲高い妙な音は気に入らないね。デジタルだからこそ簡単に取り除けると思うのだが。

ICOM以外の商品について

一方ライバルの八重洲は操作性は思いっきり糞であるのだが、音はICOMよりはマシだ。八重洲の無線機は買ったことはないが、VR-5000というワイドバンドレシーバーは持っている。この受信機の操作は本当にわかりにくい。だから無線機の方も同様に酷いユーザインターフェイスなのは容易に想像がつく。コンパクトタイプならなおさらだ。一方何十万もする大きな奴は操作性は悪くはないだろう。

操作性も問題なさそうで音も良いコンパクトなHFのセパレート機となると、残るKENWOODだ。しかし、候補であるコンパクトなTS-480は、古い商品でもう入手が困難になっている感じだ。また古い商品のため最新の規制基準に合格してないものがあるため、役所に申請の際余計な書類が必要になるようだし、パスしたほうがいいかなと思ている。それに上記2社の商品に比べて価格が割高だ。

最後に

IC-7100が八重洲やKENWOODのセパレート機より明らかにすぐれているのは、分離した操作パネルからマイクやCWのパドルが繋げられることだ。分離した筐体からマイクが繋げられないなら分離した意味が半減してしまう。複数のケーブルが遠くの筐体からつなげなくてはならないなんて、見た目もカッコ悪いし、煩わしくなる。

やはりICOMはユーザインターフェイスに関しては相当練られて設計されている。
だからこそ、IC-705は余計残念に思えるのだ。
posted by danpei at 21:09| hardware