(若い世代のTPP反対は「尊皇攘夷」に似ている)
「若い世代が「TPP反対」で大多数を占めるのは、実は深刻な現象なのである。 私はここに「尊皇攘夷」を見る。開国を迫る外国人を排撃する幕末の思想だが、内にこもり、国際化から目を背ける現在の若者の姿勢は「尊皇攘夷」に似ているからだ。」
確かに今の時代は江戸時代末期に似ているかもしれない。TPPに対しJAや医師会が自分らの既得権益が剥奪されるから反対というのも一種の尊皇攘夷と見ることが出来るだろう。しかし、尊皇攘夷という言葉を使って、暗に「長いものに巻かれよ」「国際化せよ」というメッセージを出している田原総一朗の考えには重大な問題がある。明治維新というものが絶対的に正しい選択だったという前提に立ってそのような発言をしているからだ。明治維新もTPPもアメリカがアジアにちょっかいを出して自分らがビジネスを行いやすくするための結果だ。TPPの事を考えるならまず最初にASEANだろう。TPPは経済成長著しいアジアだけで貿易協定を結ぶことが気に入らないから作った枠組みで、極めて利己主義的発想からきているものだ。
だいたい、国際政治で共存共栄なんて表向きの話だ。世界各国のほとんどの首脳らは自国の権益を守るために他国を出し抜こうと考えている。まあ、日本は違うようだがね(笑)。
田原総一朗は前のコラム(2011 11/11)で、
「日本はTPPでアメリカに手を貸しつつ、アメリカと中国の間に入る。そして、そこでアジアと太平洋の国々をリードしていく役回りを演じる。単なる損得のレベルで考えるのではなく、こうした戦略を描きながらTPP問題およびその先の経済連携を議論すべきではないだろうか。」
と述べているが、日本の内閣は高級官僚にもやられっぱなしなのだから、更に狡猾なアメリカのやり方に対処できない。田原の言っていることは理想論だ。もちろん田原の主張ように日本がリードすればいいと思うが、現時点では無理だ。
もし、日本が事実上国際社会をリードする役目になったら、まず最初にアメリカが日本をあらゆる方策を使って攻撃してくるだろう。それを回避するにはじっとアメリカが衰退していくのを待つだけだけしかない。秀吉が死ぬまでじっとしていた家康のようにね。
現時点で日本がやれる対応とすれば、TPP交渉参加は表明してしまったから、ISD条項などの超国家機関による主権介入を行わせないようにし、巨大資本が参入する際の用件として自分らだけ丸儲けせず、地域社会にも利益を還元する仕組みにするしかないだろう。
2011年11月21日
TPPは国際化ではない、アメリカの経済占領政策だ
posted by danpei at 09:15| 政治経済